やばけい遊覧~大地に描いた山水絵巻の道をゆく~

平成29年4月28日(金曜日)、中津市・玖珠町にまたがる広大な景勝地・耶馬渓の歴史や文化を語るストーリー「やばけい遊覧~大地に描いた山水絵巻の道をゆく~」が日本遺産に認定されました。
日本遺産とは、地域の歴史的魅力や特色を通じて我が国の文化・伝統を語るストーリーを「日本遺産(Japan Heritage)」として文化庁が認定するものです。平成27・28年度までに37件、本年度は17件、計54件が認定されています。

やばけい遊覧~大地に描いた山水絵巻の道をゆく~

耶馬渓とは、川が溶岩台地を浸食した奇岩の渓谷で、石柱の断崖、岩窟、滝、巨石が大パノラマをつくっています。その深く神秘な地形は伝説と祈りの場所となり、山水画のような風景は文人画人憧れの地でもありました。1000年以上の昔から、人々は岩から仏、石橋、洞門、庭園と、優れた作品を生み出し、広大な大地に配しては回遊路でつないでいき、大正時代ついに一本の絵巻物のようにまとめあげました。次々と場面が展開する「耶馬渓」という山水絵巻に入り込み、空から、谷底から、遊覧の旅をお楽しみください。

巨石伝説の山ー八面山ー

海辺の城下町中津を出発し、まず目に入るテーブル状の山は、耶馬渓の入口、様々な伝説を持つ巨石が群れをなす霊峰「八面山」です。約1000年前から周辺には古代仏教文化が花開き、人々は周辺の岩屋に仏を安置していきました。

八面山八面山
絶壁をつたい仏に会うー羅漢寺・古羅漢ー

八面山から望む岩山を目指し、参道の細く長い石畳の先に岩窟の寺院「羅漢寺」があります。羅漢寺と、対岸に盛り上がるごつごつとした峰「古羅漢」の探勝道では、天然の石橋や岩窟、岩肌に巡らせた鎖をつたい登れば、五百羅漢をはじめとした約二千体もの石仏に出会えます。

羅漢寺 仁王門羅漢寺
古羅漢古羅漢
岩窓にさす光、断崖からの眺望ー青の洞門・競秀峰ー

羅漢寺から下った山国川沿いには、屏風を立て並べたように折れ重なる巨大な絶壁「競秀峰」が現れます。ここは福澤諭吉が土地を買い、開発から守った景勝地です。この岩壁沿いの道から川に落ちて命をなくす人々を救うため、約200年前に禅海和尚が30年かけて掘ったトンネル「青の洞門」では、岩窓からさす光に照らされた無数のノミ跡から和尚の熱い想いが伝わってきます。

青の洞門 明り取り青の洞門
競秀峰競秀峰
岩峰せまる神秘の谷ー深耶馬渓ー

青の洞門を発ち玖珠へ向けて奥深く分け入ると、岩峰が覆いかぶさるように迫る渓谷に入ります。ここは約120年前の明治時代、中津出身で玖珠郡長の村上田長が中津と玖珠を繋ぐ道路を開鑿して姿を現した秘境「深耶馬渓」です。奇峰や一枚岩の滝が連続する神秘的な空間は天下の勝地と呼ばれ、新しい観光地になりました。

村上医家史料館
一目八景一目八景
テーブルマウンテンに囲まれた町ー玖珠の森城下町ー

深耶馬渓を抜け、視界が突然開けると、櫛歯状の断崖「大岩扇山」が出迎え、日本一小さな城下町と呼ばれる「角埋山」麓の森城下町に辿りつきます。100年前に耶馬渓観光の出入り口として再興した森町では、「伐株山」をはじめとしたテーブル状の山並みに包まれ、巨大な箱庭に迷い込んだ心地がします。

石柱が天を突く河童の隠れ里ー裏耶馬溪・奥耶馬溪ー

森城下町から西に回遊すると、にょきにょきと伸びる石柱群の裾に集落が寄り添う「裏耶馬渓」に到着し、さらに西へ行くと山国川を遡った先の源流の地「奥耶馬渓」です。石が何万年もの時をかけ川底にあけた甌穴群の水辺や、自然の中の温泉と暖かなすっぽん料理が旅人を出迎え癒します。奥深い谷や岩窟は落人伝説を生み、平家の落人が河童となり登場する河童祭りが伝えられています。

念仏橋
馬溪翁の町ー平田集落ー

こうした耶馬渓の歴史・文化を熟知し、耶馬渓に尽くした平田吉胤は、大正時代、平田集落に駅や郵便局を建て、石橋をかけ、水路を引き、寺社を復興し、耶馬渓の中心集落として作り上げました。「馬渓翁」と称された吉胤は、自宅に三階を造り、三方の景観を見せる迎賓館として、訪れる人々をもてなしました。

馬溪橋馬渓橋
一つになった耶馬渓

古来より文人画人を惹きつけ、あまたの絵が、詩が、文学が生まれた渓谷で、奇岩奇峰に包まれ暮らす人々は、岩から仏、寺院、石橋、庭園・・・と優れた作品を生み出し、大地に配していきました。トンネルを掘り、道を開き、観光列車「耶馬渓鉄道」をひき、探勝道を巡らせ、日本一の長さを競う石のアーチ橋を次々と架けることで、それぞれの作品を回遊路で一つにつなぎ、自由に廻れるようにした大正時代の終わり、ついに天下無二の芸術作品「耶馬渓」が完成しました。

筑紫亭
はも料理はも料理

このように耶馬渓には100年前の大正時代の観光客が楽しんだ山水画のような景観、温泉、無数の探勝道がちりばめられています。文人画人が舌鼓を打った豊前海の幸や川魚や猪鹿料理、巻柿や羅漢寺土産だった栗饅頭を楽しみながら、中津から玖珠へ、玖珠から中津へ。自動車・自転車・自らの足で、大地に描かれた山水絵巻に入り込み、空から谷底から、回遊路を巡りまた次の探勝道へ。時をかけ季節をかえて、次々と場面が展開する耶馬渓遊覧の旅をお楽しみください。

日本遺産ポータルサイト やばけい遊覧~大地に描いた山水絵巻の道をゆく (別ウィンドウで開きます)

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